この度、作家・ジャーナリストで、一般社団法人「人口減少対策総合研究所」理事長の河合雅司氏にwataridoriの魅力について語っていただきました。二拠点居住・デュアルライフに興味のある方にとって、とても胸が熱くなる文章ですので、ぜひ最後まで読んでみてください!
「しがらみ」という“重い荷物”は捨てて、
渡り鳥として飛び立とうではないか。
週末やまとまった休暇を利用してお気に入りの地方を繰り返し訪問し、町おこしに参加したり、趣味の時間を過ごしたりするライフスタイルが広がってきている。 テレワークが普及し、「転職なき移住」はニューノーマルとなった。定住地にこだわらない住まい方はどんどん一般化するだろう。
とはいえ、「本格的な移住までは…」という人も多い。手続きは煩雑そうだし、移住先ですぐに友達ができるか不安である。
そんな懸念を一気に解決してくれる新サービスが登場した。全国渡り鳥生活倶楽部が提供する「渡り鳥ハウス」だ。
仕組みは、至って簡単である。会員登録をするだけで、同倶楽部が全国各地で借り受けて快適に暮らせるよう修繕した豪邸や古民家、企業の迎賓館などの優良物件が使いたい放題なのである。 生活に必要な家具や家電品などはすべて準備されている。まさに映画『男はつらいよ』の寅さんの如く、トランク1つで出掛けられるのだ。
渡り鳥ハウスの魅力はこれにとどまらない。ホテルなどに滞在するのとは異なり、コンシェルジュが地域の人々とのつなぎ役をしてくれるのである。渡り鳥ハウス事業とは、単に宿泊施設を提供するのではなく、地域の人々との交流やそこでしか出来ない体験を重視しているためだ。
実際に、利用者からは喜びの声が届いているという。農作業を手伝ったり、地元局のラジオ番組に出演したり、ビジネスにつながる人脈を広げたりと、新しいチャレンジが始まっているのだ。
利用は原則1ヶ月からだが、数か月に及ぶケースも少なくない。これならば、本物の渡り鳥になったつもりで、暑い夏は涼しい高原のハウスで過ごし、冬になったら温暖な南国のハウスに移るといった利用の仕方だってできる。海辺のハウスを借りて、仕事の合間にマリンスポーツを楽しむといった贅沢も夢ではない。 企業がワ―ケーションの拠点やサテライトオフィスとして借り上げたり、社員の合宿研修として活用したりするなど、多彩な利用方法も広がっている。
多くの人が移動するといえば、思い浮かぶのはフランスだ。バカンスはフランス社会の活力を育んでいる。日本人も土地へのこだわりを捨てるときだ。皆がぐるぐると住む場所を変え始めたならば、重苦しい少子高齢社会の風景もきっと違うものになるに違いない。
人生はエンジョイしなければ損である。「しがらみ」という“重い荷物”はさっさと捨てて、渡り鳥として飛び立とうではないか。
河合 雅司
作家・ジャーナリストで、一般社団法人「人口減少対策総合研究所」理事長。1963年、名古屋市生まれ。高知大学客員教授、大正大学客員教授、政策研究大学院大学客員研究員、産経新聞客員論説委員のほか、厚労省など政府の検討会委員も務める。
累計90万部突破の『未来の年表』(講談社現代新書)シリーズのほか、『未来のドリル』(講談社現代新書)、『コロナ後を生きる逆転戦略』(文春新書)など著書多数。